第22回柔整療養費、第25回あはき療養費検討専門委員会の解説コラムをアップしました。

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2022-06-01

令和4年5月6日(金)に「第22回柔道整復療養費検討専門委員会」、「第25回あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」の両委員会が開催されました。
こちらの議論を受けて、令和4年度の療養費改定内容が決定しておりますのでその内容と見解について皆様に共有いたします。

柔道整復療養費の改定率については、診療報酬のうち医科の改定率等を踏まえ、政府において以下のように決定されています。

1.改定率 +0.13%
・令和4年度における柔道整復療養費の改定率については、診療報酬のうち医科の改定率等を踏まえ、政府において決定したもの
(参考)今回の診療報酬改定における医科の改定率+0.26%

2.改定の内容
○明細書発行体制加算の新設
明細書発行体制加算(新設)0円→13円

○往療料の距離加算の減額
往療料 2,300円、4㎞超2,700円→4㎞超2,550円

3.施行期日
令和4年6月1日
(明細書発行体制加算は令和4年10月1日)

今回の改定の大きな目玉である明細書発行体制加算の新設に伴い、明細書発行機能が付与されているレセコンを使用している施術所であって、常勤職員(柔道整復師に限らず、事務職員等も含む。)が3人以上である施術所においては、明細書の無償発行が義務付けられることとなりました。

A-COMSをご利用いただいている皆様の中で、常勤職員(原則として各施術所で作成する就業規則において定められた勤務時間の全てを勤務する者を指す)が3名以上おられる場合は、現在交付いただいている領収書に加えて、明細書についても原則毎回交付が必要となりますのでご留意いただければと思います。

なお、現状A-COMSにおいては領収書に加えて明細書も印刷発行することが出来ますが、新しく搭載した「レジ機能」を活用いただければ、義務化となる10月以降は「領収書兼明細書」という形でより簡単に発行できるようになりますので、受付業務を簡素化されたい会員様についてはぜひご検討ください。

レジ機能については、下記ページより製品を購入いただければ月額費用など追加することなくご利用が可能となります。
>>アトラストアへ

なお、明細書発行体制加算の算定にあたっては厚生局への届出が必要となりますが、これは明細書の無償発行義務に該当しない施術所であっても、届出さえ行えば明細書発行体制加算を算定することができます。逆に届出を行っていなくとも、義務化の対象であればそれを免れるものではありませんので注意が必要です。

今回の義務化は、施術内容の透明化や患者への情報提供を推進するとともに、業界の健全な発展を図る観点から設定されたものであり、その主旨を考えると将来的には全ての施術所で明細書の発行が義務化される可能性が高いかと思われます。義務化の対象でない施術所においても、今から準備して算定できる料金はしっかりと算定しておくことをお勧めします。

あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費の改定率についても、柔道整復と同様に、診療報酬のうち医科の改定率等を踏まえ、政府において以下のように決定されています。

1.改定率 +0.13%
・令和4年度におけるあん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費の改定率については、診療報酬のうち医科の改定率等を踏まえ、政府において決定したもの
(参考)今回の診療報酬改定における医科の改定率+0.26%

2.改定の内容
○施術料、初検料、施術報告書交付料の引き上げ
【あん摩マッサージ指圧】
温罨法を併施      現行:110円 引上額:15円 改定後:125円
上記+電気光線器具使用  現行:150円 引上額:10円 改定後:160円
施術報告書交付料    現行:460円 引上額:20円 改定後:480円

【はり・きゅう】
初検料(1術)   現行:1,770円 引上額:10円 改定後:1,780円
初検料(2術)   現行:1,850円 引上額:10円 改定後:1,860円
電療料      現行:30円加算 引上額:4円 改定後:34円加算
施術報告書交付料 現行:460円 引上額:20円 改定後:480円

3.施行期日
令和4年6月1日

あはきでは申請書の代理人欄の申請者欄に署名を求めること、また被保険者等に係る住所、委任年月日については患者より記入を受けることとされています。
また、当該各事項について、当該患者より依頼を受けた場合や当該患者が記入することができないやむを得ない理由がある場合には、施術者等が代理記入し当該患者から押印を受けることとされています。

この「代理記入」の方法を示した通知・事務連絡が発出されていない中、「必ず手書きによること」と考える保険者もおりましたが、施術者等が代理記入を手書きで行う必要性は乏しく、視覚障害の施術者も含めて大きな負担となる等の指摘もあったことから、代理記入は手書きでも、パソコン等での記入でも可能であることが示されました。

また、往療内訳表については施術所の施術者か出張専門の施術者かが分かるように見直しが行われますが、前回まで議論されていた往療料の距離加算の廃止、往療料の離島や中山間地等の地域に係る加算の創設、料金包括化の推進等については調整がつかず、全て先送りとなっています。

現在請求されるあはき療養費のほとんどが往療料であるという状況のため、今後往療について緩和されることは考えにくく、特に訪問専門で運営されている施術者の方々は長期的にみて運営が厳しくなっていく可能性があります。
一方、これからのあはき療養費の見直しでは、往療料等の減額見直しと並行して施術料の増額見直しも行われていくため、施術所を構えて療養費を扱う施術所については自動的に請求金額が多くなっていく可能性があります。

現在鍼灸師やあん摩マッサージ師がいるにもかかわらず、あはき療養費の取扱いを行っていないような施術所においては、まさにチャンスしかありませんので、ぜひ療養費の取扱いを始められることをお勧めします。

情報を制する者は経営を制する、正しい情報を掴んで施術所の運営に活かしていきましょう。