良い口コミが逆効果に?鍼灸接骨院が知るべき「ステマ」のリスク

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2025-07-01

近年、ネットやSNS上の口コミが集客・集患に与える影響はますます大きくなっています。
特に、接骨院や鍼灸院では、実際に施術を受けた患者さんの声が信頼の証となり、新規患者の来院につながることが多いでしょう。しかし、その口コミを不正に操作する「ステルスマーケティング(ステマ)」には、大きなリスクが伴います。

〇消費者庁が医療法人に措置命令
2025年3月、消費者庁は東京都世田谷区の医療法人に対し、口コミ投稿に関する措置命令を出しました。
問題となったのは、同法人が運営する歯科クリニックで、患者に対し「口コミに星5つをつけること」を条件に、治療費の
割引や金券を提供していた、ということです。
このような行為は、口コミが本来持つ「消費者の自主的な評価」という特性を損なうものであり、景品表示法違反と判断されました。(対価を伴う口コミ依頼自体が問題視されたというよりは、「高評価の強要」がステマの一形態であると判断されたと考察できます。)

〇鍼灸接骨院でも注意が必要!ステマのリスクとは?
接骨院や鍼灸院でも、Googleマップや口コミサイトの評価は、集患に大きな影響を与えます。そのため「良い口コミを投稿してほしい」と思ってしまうのは当然のことです。しかし、皆さまがご存じの通り、ステマには大きなリスクがあります。
まず、口コミを操作することは患者(消費者)に誤解を与える不当表示とみなされ、景品表示法に違反する可能性があります。
今回のように、消費者庁から措置命令を受けるリスクがあり、最悪の場合、罰則が科されることもあります。
そうなりますと、信頼の喪失リスクも生まれます。
口コミが不正操作されていると思われた・判明した場合、患者からの信頼を失い、逆に悪評が広まる可能性があります。
一度失われた信頼を回復するのは難しく、経営に悪影響を及ぼしかねません。
他にも、Googleマップや口コミサイトでは、口コミの不正操作を禁止していますので、不正が発覚すると、アカウント停止や口コミ削除の措置が取られることがあり、結果的にオンライン上の評価がリセットされてしまう可能性もあります。

〇正しい口コミ戦略とは?
上記のような事態にならないためには、安全に口コミを増やし、集患につなげて行かなくてはいけません。
患者の自然な声を大切にし、施術後に「もしよろしければ、率直な感想を口コミでシェアしていただけると嬉しいです」と伝える程度にとどめ、評価を強要しないようにした方が良いでしょう。
何より、良い口コミを書いていただくためには、良いサービスを提供し続けることが重要です。
口コミに頼らずとも患者が「ここに来たい!」と思う施術を提供し続けることで、自然と良い口コミが増えていくはずです。
丁寧なカウンセリングや、患者の悩みに寄り添った施術を行うことで、信頼を積み重ねていくことができます。
また、口コミを書いた患者に特典を提供するのではなく、院内に「皆様の声が励みになります!」といった掲示をしたり、SNSで患者の声を紹介する許可を取るなど、自然な形で投稿を促す方法も効果的ではないでしょうか。

〇口コミ戦略の重要性
今回の措置命令は、鍼灸接骨院経営者にとっても他人事ではありません。
口コミは集患に有効な手段ですが、ステマ行為は法的リスクや信頼の喪失を招く可能性が大きいです。
患者の自然な声を大切にし、正しい口コミ戦略を実践することが、長期的な経営成功のカギとなるでしょう。