自費回数券管理についてコラムをアップしました。

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2022-07-01

最近、会員の皆様より、新しいA-COMSにて実装している「自費回数券管理」についてお問い合わせをいただく機会が増えてきました。
すでに新しいA-COMSをお使いの方々はもちろん、これから新しいA-COMSに移行いただく方々においても、トレーニング環境をご活用いただき、新機能に注目いただける機会が増えてとてもうれしく思っています。

そのお問い合わせの中で「販売回数券登録を行う際、A-COMSではなぜ有効期限は最大6ヶ月間しか選択できないの?うちの院は有効期限を無期限としているので、6ヶ月以上で設定できるようにしてほしい。」というご要望をいただくことがあります。
この自費回数券を自院に導入するメリット、デメリットはそれぞれありますがそこは割愛させていただき、今回はすでに導入済み施術所における注意点と合わせて、この「6ヶ月」の意味合いについてお伝えしていこうと思います。

自費回数券を扱う上で密接にかかわってくる法律のうちの一つが資金決済に関する法律、いわゆる「資金決済法」です。
この資金決済法とは、お金の取り扱いや決済に関するルールを定めた法律ですが、その中にこの6ヶ月という期間が関係する規制が存在します。
それが前払式支払手段に関する規制で、これはそれぞれ自家型と第三者型に分類されます。
自費回数券はまさにこの「自家型前払式支払手段」に該当すると考えられますが、このとき発行者にはいくつかの義務が発生します。

一つは情報提供義務であり、発行者の名称や利用者からの苦情・相談に応じる窓口の所在地・連絡先などを、利用者に読みやすく、理解しやすいような用語により、正確に情報提供する義務です。
そしてもう一つが発行保証金の供託義務です。
「供託義務」とは、倒産やサービス終了などで、すでに入手している前払式支払手段が使用できなくなったときに備えて、法務局などにお金を預けておくように義務付けたものです。

この供託義務は、毎年3月末か9月末の時点(基準日)で、前払式支払手段の未使用残高が1,000万円以上ある事業者に対して発生します。
その額は未使用残高の半額となっていますので、最低でも500万円を供託する必要があります。

参考資料:一般社団法人日本資金決済業協会

そうすると「私の施術所は未使用残高が1,000万円を超えるようなことはない。」といった声が聞こえてきそうですが、本当にそうでしょうか?
自費回数券を導入し、施術所を運営して年数が経つほどにこの前払式支払手段は増えていきます。
有効期限を無制限などとしている場合、自院における未使用残高が一体いくらなのか、把握すること自体も難しくなっているのではないでしょうか。
またこの供託義務は事業者ごとにかかってくるため、複数施術所を運営する事業者であればなおさら注意する必要があります。

自家型前払式支払手段の発行者が、届出が必要であるにもかかわらずこれを怠ると、「最大6ヶ月の懲役」または「最大50万円の罰金」のいずれか、またはその両方を科される可能性があります。
これは個人、法人にかかわらず同様となっています。

「ではどうしようもないのか?」ということですが、実はこの前払式支払手段の有効期限を6ヶ月以内と設定すれば、供託義務は発生しません。
有効期限が6ヶ月を超えないものは、前払式支払手段に関する規制が適用されないこととなっているため、供託義務を回避することができます。
また有効期限を設けることで、有効期限内に利用者に施術計画通りに来ていただけるので、施術所側も利用者の身体の状態が把握しやすく、別の施術提案もしやすくなります。

上記のように、会員の先生方が知らず知らずのうちに法令違反をしてしまうことの無いよう、A-COMSでは登録できる有効期限を最大6ヶ月としています。
A-COMSは初心者でも使いやすい、法令を遵守した請求ソフトを目指しているため、「うちは未使用残高を適切に管理できるし、万一の場合は発行保証金の供託も出来る。それよりも有効期限を延ばしたい!」という方については、大変申し訳ありませんがA-COMSの自費回数券管理機能は使用せず、これまで通り帳簿等で管理いただけますと幸いです。

情報を制する者は経営を制する、正しい情報を掴んで施術所の運営に活かしていきましょう。