交通事故患者の対応についてコラムをアップしました。

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2023-02-01

皆さんは、交通事故に遭った患者が来院されたとき、どのような案内をしていますか?

過去のコラムでも何度かご案内させていただきましたが、新しくご入会いただいた先生方が増えてきたこともあり、最近また「どういう対応をすれば良いのか」「何を聞けば良いのか分からない」など、不安に感じている先生方からご質問をいただくケースが増えてきました。
今回はこのような交通事故患者対応でお困りの先生方へ、再度基本的な対応方法・注意点を解説していきます。

交通事故に遭われた患者が来院されるパターンは、二通りあります。一つ目は患者が来院される前に、相手方の任意保険会社から自院に連絡が入るパターンです。
任意保険会社の担当者から「〇〇さまと言う方がそちらの院に伺います」などと、電話等で伝えられるので、その際にその患者の特徴(性別・年齢・身体の状態・事故後どれくらい経過しているか)を詳しく聞き取りましょう。

特に、交通事故で来られる患者は、施術所への来院経験が無く不安を抱えている方や、事故のショックがまだ抜けていない方もおられますので、実際に来院された際は上記特徴を踏まえて「○○さんですね。保険会社の□□さんからお話は伺っています。今日は安心して施術を受けてください。」などと、安心感を与えられるようなお声かけをしてください。

また、相手方の任意保険会社と患者が良い関係を築いていくことも重要ですので、事前に連絡があった旨を一言添えて、任意保険会社と患者の架け橋になれるようにしましょう。
患者が施術を終えて帰られたら、担当者に連絡をし、ご紹介いただいたお礼、身体の状況、今日行った施術、次回来院日等のフィードバックを行ってください。

もう一つは任意保険会社から連絡がなく、患者が直接来院されるパターンです。
任意保険会社から連絡がなければ、その患者が本当に交通事故に遭われたかを確認することができませんので、患者が事故に遭ったという前提で施術を進めることになります。

その場合は、患者に保険証などの身分証明書を提示してもらい、自院で交通事故による怪我の施術を受けた旨を、相手方の任意保険会社に連絡していただきましょう。
そして、担当者から自院へ連絡を入れてもらうように伝えていただいてください。
任意保険会社からの連絡の有無にかかわらず、事故に遭われた患者は不安な気持ちになっているはずですので、安心できるような対応を心がけましょう。

次に患者へのヒアリングについてです。身体・怪我の状態の確認は当然ですが、それ以外にもヒアリングしなければならないポイントがいくつかあります。


・警察への連絡
警察へ連絡をしていないと人身事故扱いにならず、自賠責保険を利用することができません。
もし警察への連絡がまだであれば、物損事故扱いになっている可能性が高いので、人身事故扱いにしてもらう必要があることをお伝えしましょう。
警察への連絡が済んでいる場合でも、人身事故扱いになっているかどうかを確認いただいてください。


・相手方の任意保険会社への連絡
任意保険会社への連絡が済んでいるのであれば、保険会社名・担当者名・連絡先を教えていただきます。
そして、任意保険会社の担当者に患者が施術を受けに来られた旨を伝えましょう。
もし、まだ連絡をしてないなら、施術後、担当者に患者から直接連絡をしてもらい、その担当者から自院へ連絡を入れてもらうように伝えてもらってください。


・病院への受診
病院へ行ったかどうかは、自院での施術部位を決める基準や、施術証明書・紹介状を発行する必要の有無に関係します。
患者が病院へ受診済みの場合、診断書を貰っているかを確認してください。
貰っていたら施術部位算定の参考にするために見せていただきましょう。
まだ病院へ行っていないのであれば、人身事故になっておらず物損扱いになっている可能性がありますので、警察で人身事故に切りかえる手続きが必要になる旨をお伝えしましょう。


・患者が事故に遭われた日
事故日は、施術証明書に記載する必要がありますので、必ず確認しましょう。
また、事故日から自院へ来院した日までの期間が長く空いていると、その症状が本当に事故に起因しているか疑義を持たれる可能性があります。
その場合は、期間が空いた理由を必ず記載しておきましょう。


・事故の状況・過失割合
事故の状況によっては請求方法・過失割合が変わる可能性がありますので、しっかりヒアリングしておきましょう。


・同乗者がいた場合
同乗者の方も怪我をしている可能性があります。同乗者の方の怪我も施術してあげましょう。(同乗者の方にも自賠責保険が適用される可能性があります)


・目撃者・ドライブレコーダーの録画の有無
過失割合が変わる可能性があります。客観的に証明してくれる人や証拠があるかどうかを確認しておきましょう。


・車の破損状況
車の破損状況で、任意保険会社が患者の怪我の状態を大まかに予測していることがあります。
車の破損状態がひどくないのにも関わらず、怪我の症状がひどい場合、任意保険会社に説明しておかなければ、後々トラブルになることがあります。


・通勤中の事故かどうか
通勤時の事故の場合は、労災保険が適用になる可能性があります。


交通事故患者の対応時は患者から多くのことを聞かないといけませんが、トラブルを防ぐためにもしっかりヒアリングを行い、聞き出した内容は必ず記録に残すようにしましょう。

交通事故患者への対応に自信がないのは、施術に関わることを除けば知識不足が原因であることがほとんどです。
知識がつけば、対応に自信が生まれ、自然と紹介につながって来院する患者も増えることになります。